一寸の喪女にも五分の愛嬌を

「私はのうのうと受け入れない。闘う時は今だわ」

 どうせ辞めるんだ。

 社長にでも会長にでもきっちりと話をつけてやろうじゃないの!

 カツンとヒールを鳴らし、深呼吸してから玄関を開いた。

 外は久しぶりの快晴で、私の闘争心を鼓舞していた。


 人事課に入った途端、山際が「おっ? 風邪で休むんじゃなかったのか?」と暢気に問いかけてきたけれど、私はぐるりと見回し、溜息を吐く。

「課長と成瀬は?」

「ああ、重要な話があるとかで役員会議に呼ばれて行ったぞ」

「そう」

 山際は何も知らないらしく、もう私には興味を失ったようで、パソコンに向かって書類作成を始める。

 他の社員も同様なのだろう。

 特に私に対して何も含むところがあるようには見えなかった。

 とにかく役員会議が行われている場所に行かなくては。

 戦闘モードに入っている私は、後先を考えずに人事課を後にして、すぐ役員室のあるフロアにヒールのかかとを響かせて向かった。

 秘書に取り次ぎをお願いすると、意外なことにすぐに入室を許可された。