一寸の喪女にも五分の愛嬌を



『眠ったので帰りました』

『体調はどうですか?』

『今日は絶対休んでください』

『目が覚めたら連絡を』

『今夜もそちらへ行きます』 


 並んでいるのは短い一言。それなのにどの文字列も、私の心を温める。

 もう起きても問題はなさそうだし、仕事には行くつもりだと成瀬にメールを送った途端、電話がかかってきた。

「おはよう、成瀬。起きてたんだ」

『先輩、今日は絶対に休んでくださいって。会社、来ちゃダメですからね!』

 やけに強い口調で告げる成瀬に私は笑う。

「体調はもう大丈夫よ。心配ないから」

『ダメですって。もう課長にも連絡したし、来ないでください。てか、絶対に今日だけは来ないで欲しいんです』


 その時になり、ようやく違和感を覚える。


 なぜこんな必死になって私の出社を拒否しようとしているのか。

 最初は体調を気遣ってくれているのだろうと微笑ましく思っていたけれど、それにしてはあまりにも強い制止の仕方ではないか。

「……何か私が出社したらまずいことでもあるの?」

 問いかけると、成瀬が電話の向こう側で息を呑んだのがわかった。