一寸の喪女にも五分の愛嬌を

 それでもいいと、一瞬は思ったけれど、ギリギリのラインで私は素直になりきれない。

 また可愛げのない自分が甘えることも委ねることも拒否をする。

「……本当にバカね、あんた。私は風邪をひいているのよ? うつされると思わないの?」

「また俺ってば……本当にすみません。つい調子に乗ってしまいました。具合はどうですか?」

「薬が効いているから大丈夫だけど、今、やましいことをしたら確実にうつす自信はある」

「俺が風邪をもらって、先輩が楽になるならそれでもいい」

「心底呆れるわ。私よりも今はあんたの方が仕事抱えているんだから、会社の効率を考えなさい。どれほどバカな提案だと思っているのよ」

 はあ、と呆れた私を、成瀬はギュウっと強く抱きしめた。

「あああ、これだから先輩は手放せないって。こんなに会社のことを第一に考えてくれる貴重な人材を、易々と他に取られたくないっての。俺、本気でやるから」

 他に取られたくない……。

 そんな風に言われると、自ら喪女になっている私でも、思わずドキリとしてしまう。 

 これ以上、成瀬に深入りしてはいけないのに、自制できなくなりそうだ。