一寸の喪女にも五分の愛嬌を

「ご、ごめん、先輩! 大丈夫ですか!? わああ、どうしよう。頭、大丈夫ですか?」

「失礼ね。頭大丈夫ってどんな言いぐさよ!」

「いや、え、そういう意味ではなくてですね、あの、どこかにぶつけたりとか……」

 慌ててしどろもどろになる成瀬がやけに可愛くて、私は怒っているつもりなのに、噴き出してしまった。

「あ、え? なんで笑って? ちょ……ほんと、すみません!」

 正座して謝る成瀬が本当に可愛くて可愛くて、このまま彼を自分のものにしたいなんて思いがムクムクとわき上がる。

 だからちょっとだけふざけた私は、成瀬へと腕を伸ばしながら命令を下した。

「ほら、ぼさっとしていないで、私をいたわってベッドまで運びなさいよ。あんたは下僕よ、下僕。さっさと助け起こしなさい」

 言ってからまた噴き出してしまったから、成瀬も一緒になって笑う。

 そして私の差し出している手をそっと握りしめた。

「そうですよ、男はみんな好きな人の前では下僕です。先輩は俺のお姫様ですから」

 この男は歯の浮くようなセリフを平気で息を吐くように言う。

 これが彼のリップサービスだとわかっいても、それでもいいかと、今は流されてしまいそうになる。

「それで? このままベッドに運びますけど、それって期待していいってことですよね? 俺、今更誤解だとか言われても止められないですよ?」