僕は、机の引き出しにそっと忍ばせている一枚の写真を眺めた。

去年、団地での焼き肉会をした時の写真だ。

まだ、妊娠前の人妻が未来ちゃんを抱っこした旦那と並んでいて
僕は、そのナナメ前でピースしている。

この写真を撮る時、後ろに人妻がいるの知っていたから、振り向けなかった。

並んで映る、ただそれだけの事を
羨ましいと思う小さな嫉妬を出来るだけ大きくしない様にしていたからだ。

だけど、人妻と同じ枠に収まってる写真なんて他にはないから
この写真をたまに、見つめてはセンチメンタルな僕。


そんな気持ちを抱えるよりも、今はこのお手製タイムマシンに乗って未来へ行くんだ。


僕は、写真を財布にねじ込ませタイムマシンに乗り込む。

ピピーピピー

機械音がうるさいが僕の研究によれば、確実にタイムスリップ出来るハズなんだ。

過去へも、未来へも。

僕は、狭い操縦席に座ると未来への時間をセットする。


今、未来ちゃんが三才。

17年後の二十歳になった未来ちゃんを見に行こう。


さぁ。動き出す。


ガグン ググン ガゴガゴ

予想以上の震音と振動。

僕の体さえも激しく揺れる。