あの人妻の、柔らかい笑顔を浮かべる。

周りにフワフワしたシャボン玉でも浮いてそうだ。


いつも優しい目で、自分の娘を見守る眼差し。


僕は、団地のすぐ側にある公園でその人妻とよく会うんだ。

人妻は…里穂子さんと言う。

だけど、心の中では僕は人妻と呼ぶ。

人妻は、いつも三才の娘の未来ちゃんを連れている。

僕は、未来ちゃんとたまに遊んだりする。

砂場で、デッカイ山を作ってその下に深い穴を掘ってみたり
ブランコを押してあげたり、滑り台では、膝に未来ちゃんを乗っけて

「ぅひゃっほぉ~」

なんて、声をあげたりするんだ。

そんな僕を、人妻の目にどう映ってるかは、よくわからない。

でも、いつも申し訳なさそうに、

「ありがとう。」

と、微笑んでくれる。


時には、いつものお礼だと言い、僕の家に訪ねて来て
手作りのバナナマフィンをくれたりする。