大きくなってから、お父さんの肌着姿も見ることもないのに。男兄弟もいないのに。


ましてやついさっき再会したばっかりの、ほぼ赤の他人の男だ。


それなのに。
なんでこんなに、こんな奴にドキドキしなきゃいけないの!?


「…彼氏とは、キスしたのか」


低い声で、囁くように。


「かっ、関係ないでしょ!?」


「あるから聞いてんだろうが」


石鹸のいい匂いがする。
背もたれと肘置きに手を置いて、至近距離で見つめられる。


出来ることなら肌に触れたくない、と必死で肩を押す。
涙が出て来た。


「やだ!!あっちいって!!」


「……悪かったよ」


項垂れて離れると、シャツを着て髪を乾かす。