ヒナタも今頃食べてるのかな、と窓の外に見える2年生の教室のある校舎を見つめてみる。

残念ながら、私の視力ではヒナタの姿を捉えることはできなかった。



「そういえば、昨日のテレビでさぁ…」

窓の外を見るのをやめて、美樹と他愛もない話をする。

そんな“普通の女子高生”の当たり前の日常を、あたしは楽しんでいた。


この時、までは……。




「佐藤 華乃さん、いらっしゃいますか?」

聞き慣れた綺麗なテノールの声に教室の出入口の方を向く。

…なんか廊下が騒がしいな、と思ってたんだよね。

やはりアンタだったか。



「櫻井、先輩。あたしに何か御用が?」

ヒナタに負けないくらいの笑みを浮かべ、立ち上がる。


向かいに座っている美樹は楽しそうにニヤニヤと笑い始めた。

本当、なに楽しそうにしてるの?

こっちは割とピンチなんだよ!!