「嬉しいよ…君が本気でぶつかってきてくれて」

「…は、はあ」

「でも、とても残念だ。君との交際は100%良い方に進むと思っていたのに…」

「……、」

「賭けは君の勝ちだ。仕方ない。君のことは諦めよう。…それでは、失礼する」


真顔のままそれだけ淡々と言い終えるとメガネくんは人混みの中へ消えていってしまった。


「……え、あたし勝ったの?」


「…そうみたいだね」



ポカンと口を開け立ち尽くす、あたしと美樹。




あまりにも頭の中に入ってくる情報量が多すぎて、脳みそがオーバーヒートを起こしそうだ。



「よかったね、華乃!」


だけど、美樹が満面の笑みでそう言ったからすぐに笑顔で応えた。



これから1週間、早起きして弁当作りに明け暮れる日々になる。だけど、それでもいいやって思っちゃうほど今日は嬉しい日だった。

それはきっとメガネくんがあたし自身のことを認めてくれたような気がしたから。