キミと恋に落ちる可能性




ヒナタに貰った問題を解き始めて数十分。


もうギブアップと言いたいところだが、それもなんかカッコ悪いと変なプライドが邪魔をしてずっと問題と睨めっこしている。



「おい。全然手ェ動いてねえけど起きてんの?」


「…起きてますが?」



全く進まないあたしのシャーペンを見てヒナタは呆れているようだ。


だってわかんないんだもん…。



「これ、基礎だぞ?」

「…すみません…」



中学の時は南高校に入学するため、内容を全て頭に叩き込んだ。

教科書を毎日のように音読し、脳内を社会科の教科書でいっぱいにしたのだ。



だけど高校に入ってからは、あまり勉強しなくなったのに加え、量も範囲も増えて“頭に叩き込む”なんてことはできなくなってしまった。



はあ。

こんなことになるなら、ヒナタに教えてもらう前に少し勉強しとけばよかった。