「え!櫻井先輩、オッケーしてくれたの?!」
朝からテンションお高めの美樹の声に、あたしの寝ぼけた頭はついていけないらしくキーンと痛くなる。
「うん。あたしが賭けに勝ったら『弁当1週間』っていう授業料があるけど」
「なにそれっ!むしろご褒美じゃない!」
ご褒美なわけがない。
少なくともあたしには。
朝が苦手なうえに、料理だってできないわけじゃないけど、上手いわけでもない。
こんなあたしにとって高い授業料を払わせることができるのは、やっぱり幼いときからあたしのことを知っているヒナタだからこそだ。
本当に腹黒いと思う。
「あたしの嫌なところを突いてくるんだよ、ヒナタは」
「そうかなあ〜」
ニヤッと笑う美樹にあたしは小首を傾げた。
まるでなにか他に理由があるとでも言っているみたいじゃないか。



