「なあ、いいだろ?」


彼は更にあたしの顔を覗き込むようにして近づいてきた。


その目はキラキラと眩しいくらいに輝いている。


よほど自信があるのだろう。



だけど残念ながらあたしは全くをもって付き合う気は無かった。




「ごめんなさい。今は誰とも付き合う気は無いです」



そう。


“彼と”付き合う気が無いわけじゃなく、
“誰とも”付き合う気は無かった。




あんなことがあって、あたしは少し恋愛に慎重になった。



懲りた、といっても間違いでは無い。




自分が本当に好きだと思った人としか付き合わない。


そう決めた。




自分も、相手も、傷つかないために。