好きにならなきゃって思うんだけど、まるでブレーキがかかったみたいに『いい人』から変わらない。
その気持ちの後ろめたさからか、なんなのか、無意識のうちにあたしは顔を下げた。
「どうしたの…?」
横から健二くんの声。
「大丈夫だ…」
“大丈夫だよ”
そんな何気ないひと言はあたしの脳内から消えた。
だって健二くんの顔がぶつかりそうなぐらい近くにあったから。
あたしは突然の状況にビックリして固まってしまった。
それでも健二くんは御構い無し。
そのままどんどん顔が近づいてくる。
き、キスされる…!
───…イヤ!!
「ごめん!」
何故かあたしは顔を背けてしまった。



