「ああー!!わかんない!!」
電車を降りて人通りの少ない道で大声で叫ぶ。
家まで数メートルの場所だ。
叫んだあとで我に返り、周りを確認したが誰もいなかった。
ひとりで叫ぶ女。
……イタイな。
さっさと帰ろう。
歩くペースを速め、家へと急ぐ。
なんか今日は疲れたな。
そう思いながらひとりテクテクと歩き、家の前に着いた時、見慣れた姿が目に映った。
「……ヒナタ」
腕を組み、ヒナタの家の塀にもたれるヒナタはやけに大人に見えてドキッとした。
それは恋愛的な意味ではなく、
ヒナタが違う人に見えたからだ、たぶん。
少し近づいて顔をよく見てみれば、眉間にシワが寄っている。
え、なんか怒ってる?
「あの…」
「お前さ、彼氏できたの?」
「え。う、うん」



