「はぁ。明日の入学式が思いやられる」


『そんなに嫌なの?西高校なんて頭の良い人しか入れない、誰もが憧れる学校なのに…』



かれこれ1時間以上、電話で愚痴を聞いてくれている塩屋 和花-Nodoka Shioyaは中学校の中で1番の親友だ。



「あたしも西高校に受かったこと自体はすごく嬉しいんだよ?」


そう、泣くほどに。


「だけどね、アイツがいるから…」



アイツさえいなければ楽しいスクールライフを送れたはず。


いや、送れるはず。



『櫻井先輩ね〜。中学校の頃、大変だったもんね』


電話越しに苦笑いの声が聞こえた。