学校までの道をゆっくりと歩く。
すると昨日は気づかなかった満開の桜が目に止まった。
ヒラヒラと落ちるそれは、ピンク色の雪のよう。
道はピンクの絨毯みたいになっていた。
急ぎすぎてこんな綺麗な光景に気づかなかったなんて、勿体無かった。
あたしは早起きした理由をこの桜を見るためにした。
ヤツのために早起きしたなんて考えたくないから。
空に手を伸ばし、花びらを掴もうとしてみる。
風に吹かれて全然掴めない。
そういえば、ヒナタもそうだった。
昔から、摑みどころのないやつだった。
人前ではいつもニコニコしているのに、
裏になると人が変わったようにあたしにイジワルをする。



