「方向音痴、昔から変わってねえのな」

「そんなことっ!」

「あるだろ」

「…ありますね」

なんでヒナタはあたしのこと全部わかっちゃうんだろう。

それであたしがピンチの時、いつも助けに来てくれる。

今日だって、臨海学校の時だって、昔だって。ずっとそうだった。

なんだ。あたしのヒーローはこんな近くにいたんだ。

こんな近くにいたのにずっと気づかなかった。


「ほら、早く戻るぞ」

ヒナタはあたしの手を掴み、早歩きで進み始め、あたしは引っ張られるように小走りで必死についていく。

「ちょ、ちょっと!早いよ!」

ナチュラルに手も繋いじゃってるし!!

恥ずかしいやら、ドキドキするやらであたしの顔はりんごみたいに真っ赤だったと思う。