そしてあたしは、自分の部屋で静かに涙を流した。
誰にも気づかれないように。心配かけないように。
いっそのこと、この感情を無かったことにしたかったけれどできなくて、頭の中はなんで、どうして、という疑問ばかり。
『華乃に好かれてるっていう自信が持てない』
その理由に納得出来なかった。
あたしだって恥ずかしいからあんまり言えなかったけど"好き"というのは伝えてきたつもりだったし、亮君に好かれているという自身もあった。
初キスからわずか数日しか経っていないのもあったからかもしれない。
あたし、好きでもない人に"好き"なんて軽々しく言わないよ?
好きでもない人に自分から話しかけたりしないよ?
好きでもない人とデートなんてしないよ?
キスだってしないのになあ…。
しない、のに…この想いは届かなかったんだね。
やがて中学校を卒業したあたしたちは疎遠になってしまった。



