別れたのは、その記念日のわずか数日後。
毎朝 一緒に登校しているあたしたちは、いつも亮君があたしを迎えに来てくれていた。
「おはよ!」
「……あ、おはよう」
その日、なんだか亮君の様子がおかしいなとは思っていた。
それでも、別れは突然で残酷だった。
いくら話しかけても反応が薄い亮君を不審に思いつつもいつものように一緒に下校し、あたしの家の前に着いてバイバイ、と言った時だった。
「…華乃。あの、さ…俺たち別れよ」
「……え、」
反射的に出たその声は震えていた。
「俺さ、華乃に好かれてるっていう自信が持てないんだよね…」
「そんなの!あたし、亮君のこと好きだよ?望むのならいくらでも好きって言うから!だからっ」
「…ごめん」
「っ!」
ピシャリと心の扉を閉ざされてしまった気がして何も言えなかった。
"ごめん"というその三文字に全てを悟り、絶望した。



