三人でフードコートに行き、席をとった。
ご飯だけ、ご飯だけ。
帰ったら寝よう。そして全て忘れ去ろう。
ずっとそんなことを考えていた。
「俺、ハンバーガーにしよっと」
「じゃあ、私もそうする!華乃ちゃんも?」
「いえ、あたしは他のにします」
「そう?じゃあ、私まとめて二人のも買ってくるね」
「いや、俺買ってくる」
「いいって!荷物持ちで疲れてるでしょ?」
…なんなんだ。この言い合いは。
痴話喧嘩にしか見えないんだけど。
あたしに仲の良さを見せつけてるんじゃないかとさえ思えてくる。
ヒナタと言えば、いつもパシリのようにあたしに買いに行かせるのに今日は言ってこないなんて、きっと佳乃先輩に究極の腹黒を見せないために決まってる。
胸の痛みはじくじくと強さを増していくばかり。
こんなことならあたしは来なければ良かったのかもしれない。
「あの、私が先輩方の分も買ってきます」
「え…いや!いいよ!自分で買ってくるから!」
「あたしは後輩ですし…何より、ずっと言い合っていたらご飯食べれないじゃないですか」
にっこりと笑って言えば、佳乃先輩は恥ずかしそうに笑った。
そういうところだよ、きっと。ヒナタを含め男子が彼女を可愛いって思うところは。
それに比べてあたしなんか佳乃先輩に嫌味とも捉えられる事を言ってしまった。本当、あたしは何してるんだろう。



