"好き"と気付くのが遅すぎた。
きっと前から惹かれているところはあったはずなのに。
ずっと嫌いだと思い込んでいた。
嫌いだと思いたかった。
でもそれも好きの裏返しだったのかもしれない。
「よし、とりあえず今決まったものだけ買い出しに行こう。誰が行く?」
「こういうのは男子が行くものでしょ?」
「嫌だよ。佳乃が行ってこいよ〜」
「は?翔太は重い荷物をか弱い女子に持たせる気?」
「だって俺、いっつもこういう役回りじゃん」
めんどくせえ、と翔太先輩は顔をしかめた。
だったら。
「あの、私行きます」
「…え!」
驚いたのは翔太先輩だけでなく、あたし以外の全員だった。
「ここにいてもどうせ暇してますし、あたし行きますよ」
名乗り出たのは、みんな嫌そうだったからっていうのもある。
でも一番はここにいる時間を少しでも減らしたかった。
買い出しに行っている間、ここにいなくても済む。二人を見ずに済む。そんな考えだった。



