ドボンと言うよりはバッシャーンと大きな音を立てて落ちたあたしの体は、浮かぶことなく沈んでいく。
泳ぎは苦手じゃないんだけどなあ。
今はいつものように上手く対処できない。泳げない。
夏だけど、夏なのに、水深が深いところは水温も低く、体温を奪っていく。
少し息が苦しくなって金魚のように口をパクパクさせたら、ゴポゴポと口の中に水が入ってきて更に苦しくなった。
…あたしはこのまま死んでしまうのか。
そんなことを考えながら、ゆっくりと瞼を閉じた。
もう、ダメだ…。
意識が飛ぶ直前、ふわりと懐かしい温もりに包まれた気がした。
* * *
薄っすらと重い瞼を上げてぼやけた目で見たのは、真っ白の天井。
あ、そうか。
あたし、崖から落ちたんだ。
結構な高さだったのに死ななかったんだ。
ゆっくりと体を起こそうと試みる。
「…いっ」
痛っ。
落ちた時に打ったのか体のあちこちに痛みが走り、頭はボーッとする。



