また、部屋に誰かがいた

「かわいそうに…まだ17歳だったのに…」

「本当にいい子だったのにね…」

そんな会話を交わしながら、香織の病室を数人の看護師が片づけていた。

「そのP15は2階の倉庫にしまっておいてくれる?」

「わかりました」

「あ!倉庫に運ぶ前に、そのP15の胸に貼られたシール剥がしておいて」

病院の職員が香織が貼った胸のシールを剥がそうとしたときである。
なぜかロボットが急に動いた。彼は体を90度回転させて、それを避けた。

「え…!」

「どうしたんだろ?誤作動かな?とりあえず電源を切っておいて」

そう指示を受けて、職員がタブレットで操作をするとP15の電源が落とされた。

「故障したのかな?」

そう考えた職員から相談を受けた施設長は電話でロボットのメーカーに確認してみたが、技術者でも原因がわからない。とりあえず使用年数も長かったことから、翌日メーカー側でP15を回収することとなった。

「例のP15は明日、業者が回収に来ることになった。万一院内で誤作動による暴走でもおこしたら大変だから、外のごみ置き場の横にでも置いておいてくれ」

そんな指示を受けて、病院の職員はP15を台車に乗せ、外へと運んだ。
病院を出ると、すっかり日が暮れて夜になっていた。

「よいしょっと…」

台車からP15を降ろし、ごみ置き場の横に置くと彼は

「ううっ…寒っ!こりゃあ、また雪が降るかもな…」

そう言いながら、足早に病院の中へと戻っていった。