また、部屋に誰かがいた

深夜2時を過ぎた頃には彼女の状態は落ち着きを取り戻したが、医師から両親に告げられた言葉は悲しい宣告だった。

「覚悟しておいてください」


一命をとりとめたものの、あれだけP15の手を焼かせた元気で活発だった香織の姿はもう見られなかった。

薬の影響でほとんどベッドで眠る香織の隣には、やはりいつもどおりP15がいた。
でもその姿はなぜか寂しそうに見えた。

数日が経った頃、見守る両親の目の前で再び容体が悪化した香織は集中治療室に移された。
元の病室ではベッドの脇にぽつんと残されたP15。


そして、クリスマスを控えた12月のある日、静かだった夜の病院に香織の母親の絶叫に近い泣き声が響き、彼女の傍らで呆然と立ち尽くしていた父親がガクッと膝を落とした。

誰もいない暗い病室でP15は香織の声を聞いた。


「ピーくん…ありがとう…」