また、部屋に誰かがいた

P15が制止する声を聞きながら彼女は中庭へと続く扉を開け、外に出てしまった。

中庭はしんと静まり返っていて、冷たい空気に包まれた香織が見上げた頭上には黒く、重い空が広がっていた。
そのとき…


そんな空からは、無数のわたぼうし。


空を、景色を、空気を白く覆いつくし、ゆっくりと舞い落ちている。

ようやく彼女に追いついたP15の隣で、
それらを香織は見上げながら、目を輝かせ、白い息を吐きながら言った。


「わあ…雪だぁ…綺麗…綺麗だね」


白い空気が「二人」を優しく包む。音を飲み込まれた世界は静寂に包まれている。
香織は隣にいたP15に持っていたマフラーを巻いた。
そしてニッコリ微笑んで

「ほら!アタシの帽子と『おそろ』だよ!」

「オ・ソ・ロ…」

「わかってるわよ!また『認識できません』でしょ」


周囲は相変わらず白く静かな世界。笑顔の香織にP15は言った。




「オソロ…ウレシイデス」