それに…、
「あれ?もしかして怒ってる?」
悪びれるそぶりもなく
私の後を追いかけてきた
横にピタリと並んで歩く
何でいるんだよ、と言いたくなるが
何も言わず黙って歩く
「藍ちゃん、もしかしてファーストキスだった?」
『ちがうわよっ!!』
あの日、別れ際に
勝手にキスをした
別にファーストキスではない
けれどキスって勝手にするものではなく
ちゃんと合意の上でするものだ
怒って言い返せば
優さんは嬉しそうに笑い
ご飯に行こう、と
私の手を無理矢理取り走り出した
『ちょっと、優さんっ!』
引っ張られる身体は
もう制御がきかない
優さんは全力までとはいかないが
結構な速さで走る
止まって、と言えないくらい
息をするのが精一杯
ただ鞄を落とさないように
転ばないように走るだけだ

