『優にお願いがあるの』



仕事から帰ると
遅い時間にも関わらず起きて待っていた藍


短大を卒業し
念願の司書として本屋で働いている
本当は図書館で働きたかっただろうに
条件が合わず…と、言うか
通勤圏内にはなく断念したわけだ

藍の夢のためなら
離れる事を覚悟していたが
藍は頑なにソレを嫌がった


『新婚早々と離れるなんて嫌よ』


短大を卒業とともに
俺と藍は結婚をした
それは前から決めていたことで
だから、尚更
藍を縛ってしまったのでは無いかと
少しだけ後悔はしたが
それでも今の職場に満足しているようで
内心ホッとしている



「珍しいな、どうした?」


寝室へ向かい、着替えながら藍に話を聞く
チラッと時計を見れば
短い針が12を指そうとしている
明日も仕事の藍を寝かせてあげたいと
話を急がせた