「ありがとう、天地さん。あと、アドレスと番号交換し忘れてたから、よかったら交換しない?」
「あ、うん。ちょっと待ってて」
時雨はカバンの中から携帯を取り出し、手っ取り早い赤外線でアドレスと番号を交換した。
「ありがとう、天地さん。またね」
ふわりと、また笑みを浮かべた優は、軽く手を振って教室を後にする。どうやら用は済んだらしい。時雨は携帯をカバンに戻すと、頬杖をつく千恵とお互いに顔を見合わせた。
「うまくいってるみたいだね」
「……たぶん?」
千恵はうまくいってると言うが、時雨にとっては、これがうまくいっているのかいないのかはいまいち解らないでいる。だから緩く首を傾げるしかない。
「それより時雨、課題やった?」
「うん。千恵ちゃんはどうせ忘れてたんでしょ? わたしの見せてあげるから」
「いつも悪いね、時雨」
机から取り出したノートを千恵に渡す時雨は、小さく笑みをこぼす。
「いつものことだしね」
中学一年から五年の付き合いだから解るのだ。千恵は少し面倒くさがりであり、課題のノートなどを学校に忘れることがあると。その度に時雨は課題終わりのノートを貸していた。千恵はお礼として缶ジュースやらコンビニスイーツなどを奢り、持ちつ持たれつやっている。
「じゃあ、あたしはさっさと写すから、時雨はゆうちゃんとメールでもしたら?」
「はぁ? そんなこといきなり言われても――」
時雨の言葉も聞かずに、千恵は前を向いてノートを写し始めている。千恵の様子を見るに、優のことは吹っ切れているのだろう。早くに次の恋を探すのが千恵のいいところであり、ある意味悪いところでもある。
「メールねぇ……」
時雨は頬杖をついて小さなため息を吐いた。時雨自身からメールを送ることがあまりないので、どうしたものかと思案する。さらに、メールがきても返信をどうしようかと考えてしまい、時間を取られて結局簡素な返信になってしまうことが多い。本当はもっと絵文字やデコレーションなので華やかにしたいのだが、やはり時間を取られるだけになってしまう。
「いつもの感じでいいんだって。時雨は時雨なんだからさぁ」
「それはそうだけど――って、驚かさないでよっ!」
「あ、うん。ちょっと待ってて」
時雨はカバンの中から携帯を取り出し、手っ取り早い赤外線でアドレスと番号を交換した。
「ありがとう、天地さん。またね」
ふわりと、また笑みを浮かべた優は、軽く手を振って教室を後にする。どうやら用は済んだらしい。時雨は携帯をカバンに戻すと、頬杖をつく千恵とお互いに顔を見合わせた。
「うまくいってるみたいだね」
「……たぶん?」
千恵はうまくいってると言うが、時雨にとっては、これがうまくいっているのかいないのかはいまいち解らないでいる。だから緩く首を傾げるしかない。
「それより時雨、課題やった?」
「うん。千恵ちゃんはどうせ忘れてたんでしょ? わたしの見せてあげるから」
「いつも悪いね、時雨」
机から取り出したノートを千恵に渡す時雨は、小さく笑みをこぼす。
「いつものことだしね」
中学一年から五年の付き合いだから解るのだ。千恵は少し面倒くさがりであり、課題のノートなどを学校に忘れることがあると。その度に時雨は課題終わりのノートを貸していた。千恵はお礼として缶ジュースやらコンビニスイーツなどを奢り、持ちつ持たれつやっている。
「じゃあ、あたしはさっさと写すから、時雨はゆうちゃんとメールでもしたら?」
「はぁ? そんなこといきなり言われても――」
時雨の言葉も聞かずに、千恵は前を向いてノートを写し始めている。千恵の様子を見るに、優のことは吹っ切れているのだろう。早くに次の恋を探すのが千恵のいいところであり、ある意味悪いところでもある。
「メールねぇ……」
時雨は頬杖をついて小さなため息を吐いた。時雨自身からメールを送ることがあまりないので、どうしたものかと思案する。さらに、メールがきても返信をどうしようかと考えてしまい、時間を取られて結局簡素な返信になってしまうことが多い。本当はもっと絵文字やデコレーションなので華やかにしたいのだが、やはり時間を取られるだけになってしまう。
「いつもの感じでいいんだって。時雨は時雨なんだからさぁ」
「それはそうだけど――って、驚かさないでよっ!」