世の中には、信じていい事と信じてはいけない事がある。
なぜ自分がそう定義するに至ったかというと、それは至高なまでに薄い確率で現れる良心的な心。リーダーの条件に大きく関わっている他人を見捨てない心。
クソゲーのガチャ率よりもクソゲーな確率でしか出現しないその良心は、大抵自分にとってプラスな結果を与えてくれる。はずだった…
全ては、クラスで一人、ただ窓を眺める係りを難なく勤める不良児に優しく微笑んだのが始まりだった。
その日、僕は彼と話をした。…と、これだけ言えば完全平和を成し遂げて、心の中でガッツポーズを決めてるのだが、察しの通り、話した!…では片付けられない話をした訳だ…
簡単にまとめても、簡単にまとめなくても「脅し」…という言葉に変更はないだろう。今回の自分の場合、数ある脅しの種類の中で、恐怖による支配。に属する脅され方をした。それはもう、体型も、声も、戦闘経験も圧倒的に劣る自分だ。漫画で例えるなら脅されたのと同じコマで屈した勢いだ。
晴れて彼の「放課後コンビニ巡り」のアシスタントとなった自分は、主に荷物持ちと金銭管理(支払うのはもちろん僕だ)を命じられ、例の如くお供させられた僕の気分は、どちらかと問われると、75%ほど、嬉しいに属する気分だった。
今までの人生の中で、彼は始めて口を使ったのではないか。それほどまでに喋らなかった彼は、今、こうして僕に無理難題を押し付けながら高笑いを見せている。これは嬉しいことではないだろうか。
こうして、僕は見事に奴隷道をブッチギリでスタートした訳だ。
不良と関わるとなると、不思議なことに、今まで話していた友達は自然界の掟のように消えて、僕は、黒板消し係りからただ窓を眺めるだけ係に転職した。
不思議なことに定番と言えるいじめられっこの条件が見事に揃っていることになる。便所飯、いい体格とワルハンサムを装備した友達、無くなった初代上履き、スカスカの財布と先生の態度。
思ったより泣きたくなる現実に直面していた僕は、それに気がついた時は既に末期の状態で、放課後は仲良く便所裏で小遣いをむしりとられる生活が続いていた。
そんな、愛も勇気もどこ吹く風な僕に、少し寝坊した女神がやっとその美しい手を差しのべる事にやっとなる
「やめなさい!貴方達!」
お決まりのヒロイン登場シーンから3減らした感じのセリフで登場した彼女は、絵に描いたような美人で、かつ、この学校の生徒会長を勤める成績優秀スポーツ万能…まぁ、完璧と例えるに一番近い存在だ。
「誰だテメェは!!?」
「えっ、ちょ…自分の学校の生徒会長くらい覚えなさいよ!」
「知らねェよ!!」
「うぅ……とっ、とにかく!今すぐその人を離しなさい!」
「ッせーな!黙ってろクソババアが!!」
僕を絶望から救ってくれたのは、彼女の声も含まれていただろうが、やはり…
「おい!!そこで何をしているんだ!!」
「ゲッ!!糞ッ!先公かよ!?」
「後で職員室まで来なさい!!」
やはり、途中で参戦した先生が一番の功績だろう。
「大丈夫?」
そう話しかけられた時、僕の頭は珍しく異常な速度の回転を始めて、瞬時に結論を弾き出す。
そうだ…ありがとうって言わない……と……
…
……
どうやら気絶していたらしい。
目が覚めるとそこは、穴だらけの天井…どうやら保健室のベットで寝ていたらしい。
「多分、疲れだと思うけど…」
若いとも老いともいえない、多分45歳くらいの保健室の先生は、その色を心配色に敷き詰めた美少女に目を向ける。
そして気絶前の記憶から、瞬時に思い出す。
「あの……ありがとうございます……助けてもらっちゃって……」
彼女は一切の無言を貫き通していた……訳ではなく、疲れて寝てしまったようだ。
「あらら…最近忙しそうにしてたものねー…」
そう言って先生は会長の肩を軽く叩く。
「彼…おきたわよ…」
彼女の目は、エジソンもビックリの機動性を見せ、標的を僕に定めると急発進した。
「大丈夫!?うん、大丈夫そうだね!」
「熱は…」
そう言って彼女は額を当てる。
実際、美少女の顔が息のかかるすぐ手前にあるおいしい状況な訳だ。それはもう、恋愛経験の手薄な僕には、惚れる為のポイントは十分に揃っていた。
「うん!!大丈夫ね!!よかった~」
「あれ?顔赤いわよ?…やっぱり熱があるんじゃ…」
クスクスと笑う保健室の先生に、敬意と皮肉を込めた目線を贈り、再び額を近づける会長を抑え、あたふたする。この時、既に頭の回転は通常運転に戻っていた。
心臓の音が聞こえる。ドクン、ドクン、… 何か言うことを探さないと!えと…えーっと……
そこで思い出す結論。
「あのっ!さっきは助けてくれて……ありがとうございます!!」
「ふぇ?あっ、さっきの事ね。でも私、何もしてあげられなかった……」
「ああっでも感謝されるのは嫌じゃないし、受け取っておくわ!」
「じゃ、帰り気をつけてね」
そう言ってせっせと鞄を支度して、保健室を後にする。
危ないところだった……あのままだと会長が頭から離れなくなってしまうところだった……
…と、本心を隠すように自分の心に呟いた。
なぜ自分がそう定義するに至ったかというと、それは至高なまでに薄い確率で現れる良心的な心。リーダーの条件に大きく関わっている他人を見捨てない心。
クソゲーのガチャ率よりもクソゲーな確率でしか出現しないその良心は、大抵自分にとってプラスな結果を与えてくれる。はずだった…
全ては、クラスで一人、ただ窓を眺める係りを難なく勤める不良児に優しく微笑んだのが始まりだった。
その日、僕は彼と話をした。…と、これだけ言えば完全平和を成し遂げて、心の中でガッツポーズを決めてるのだが、察しの通り、話した!…では片付けられない話をした訳だ…
簡単にまとめても、簡単にまとめなくても「脅し」…という言葉に変更はないだろう。今回の自分の場合、数ある脅しの種類の中で、恐怖による支配。に属する脅され方をした。それはもう、体型も、声も、戦闘経験も圧倒的に劣る自分だ。漫画で例えるなら脅されたのと同じコマで屈した勢いだ。
晴れて彼の「放課後コンビニ巡り」のアシスタントとなった自分は、主に荷物持ちと金銭管理(支払うのはもちろん僕だ)を命じられ、例の如くお供させられた僕の気分は、どちらかと問われると、75%ほど、嬉しいに属する気分だった。
今までの人生の中で、彼は始めて口を使ったのではないか。それほどまでに喋らなかった彼は、今、こうして僕に無理難題を押し付けながら高笑いを見せている。これは嬉しいことではないだろうか。
こうして、僕は見事に奴隷道をブッチギリでスタートした訳だ。
不良と関わるとなると、不思議なことに、今まで話していた友達は自然界の掟のように消えて、僕は、黒板消し係りからただ窓を眺めるだけ係に転職した。
不思議なことに定番と言えるいじめられっこの条件が見事に揃っていることになる。便所飯、いい体格とワルハンサムを装備した友達、無くなった初代上履き、スカスカの財布と先生の態度。
思ったより泣きたくなる現実に直面していた僕は、それに気がついた時は既に末期の状態で、放課後は仲良く便所裏で小遣いをむしりとられる生活が続いていた。
そんな、愛も勇気もどこ吹く風な僕に、少し寝坊した女神がやっとその美しい手を差しのべる事にやっとなる
「やめなさい!貴方達!」
お決まりのヒロイン登場シーンから3減らした感じのセリフで登場した彼女は、絵に描いたような美人で、かつ、この学校の生徒会長を勤める成績優秀スポーツ万能…まぁ、完璧と例えるに一番近い存在だ。
「誰だテメェは!!?」
「えっ、ちょ…自分の学校の生徒会長くらい覚えなさいよ!」
「知らねェよ!!」
「うぅ……とっ、とにかく!今すぐその人を離しなさい!」
「ッせーな!黙ってろクソババアが!!」
僕を絶望から救ってくれたのは、彼女の声も含まれていただろうが、やはり…
「おい!!そこで何をしているんだ!!」
「ゲッ!!糞ッ!先公かよ!?」
「後で職員室まで来なさい!!」
やはり、途中で参戦した先生が一番の功績だろう。
「大丈夫?」
そう話しかけられた時、僕の頭は珍しく異常な速度の回転を始めて、瞬時に結論を弾き出す。
そうだ…ありがとうって言わない……と……
…
……
どうやら気絶していたらしい。
目が覚めるとそこは、穴だらけの天井…どうやら保健室のベットで寝ていたらしい。
「多分、疲れだと思うけど…」
若いとも老いともいえない、多分45歳くらいの保健室の先生は、その色を心配色に敷き詰めた美少女に目を向ける。
そして気絶前の記憶から、瞬時に思い出す。
「あの……ありがとうございます……助けてもらっちゃって……」
彼女は一切の無言を貫き通していた……訳ではなく、疲れて寝てしまったようだ。
「あらら…最近忙しそうにしてたものねー…」
そう言って先生は会長の肩を軽く叩く。
「彼…おきたわよ…」
彼女の目は、エジソンもビックリの機動性を見せ、標的を僕に定めると急発進した。
「大丈夫!?うん、大丈夫そうだね!」
「熱は…」
そう言って彼女は額を当てる。
実際、美少女の顔が息のかかるすぐ手前にあるおいしい状況な訳だ。それはもう、恋愛経験の手薄な僕には、惚れる為のポイントは十分に揃っていた。
「うん!!大丈夫ね!!よかった~」
「あれ?顔赤いわよ?…やっぱり熱があるんじゃ…」
クスクスと笑う保健室の先生に、敬意と皮肉を込めた目線を贈り、再び額を近づける会長を抑え、あたふたする。この時、既に頭の回転は通常運転に戻っていた。
心臓の音が聞こえる。ドクン、ドクン、… 何か言うことを探さないと!えと…えーっと……
そこで思い出す結論。
「あのっ!さっきは助けてくれて……ありがとうございます!!」
「ふぇ?あっ、さっきの事ね。でも私、何もしてあげられなかった……」
「ああっでも感謝されるのは嫌じゃないし、受け取っておくわ!」
「じゃ、帰り気をつけてね」
そう言ってせっせと鞄を支度して、保健室を後にする。
危ないところだった……あのままだと会長が頭から離れなくなってしまうところだった……
…と、本心を隠すように自分の心に呟いた。
