ある帰り道のこと。ザーザーと降っていた雨が気づいた時には止んでいて傘の雨が少しずつ乾きはじめる。お日様が顔を出しはじめたのだろう。


澄んだ青色の空には目立つ七色の橋がぼやけて見える。


虹だ。小さい頃は虹が出るたび端まで行こうとしたけれど、どこまで行ってもたどり着かなかった。


…どうせこの後は何も予定はないし。幼心にでも戻って虹を辿ろう。


古い建物を右に曲がって昔に建ったマンションを左に曲がる。空にかかる虹を見上げながら、くねくねとした道を歩いていく。



どこまで行ってもやっぱりつかない。虹を見上げて花畑のスターチスを踏まないようにまっすぐ進む。