全員参加! 選抜総選挙!!【3ページ短編】




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「なあ、お前、今年は投票どうするんだ?」

「え?」


ドキッ――


同僚の問いかけに、目を丸くして戸惑ってしまう俺がそこにいた。

『目が泳いでいる』という言葉は、今のこの俺の状態を指すんだと、辞書にすぐさま書き足したいぐらいだ。


「どうせ、いつも通りに投票するんだろう?」

「う、うん……まあ…………」

「いいよな~、俺はお前の押しメンのほうがほんとは好きなんだけど、いまさら浮気できないしな~」

「ハハッ……何言ってんだよ。俺から見れば、君の押しメンのほうが、絶対綺麗で魅力的だと思うけどな」

「え~、そうかな~?」

「そうだよ。ほら、そう言うのって…………」


隣の芝生は青い――――


俺は喉まで出かかったその言葉を、丸のみするように、グッと飲み込んだ。

理由はいたって簡単。

まさにその通りだなと、ふと思ってしまったからだ。

そう。

実は最近の俺は迷っていた。

なぜなら、長年大好きだった押しメンに、魅力を感じなくなっていたから。

それが理由だ。


ただ、今さら、押しメンを変える勇気もない。

今まで投資してきたことが、全く無駄になってしまう。

押しメンを変えるということは、注いできた俺の愛がゼロになり、いったんリセットされるということ。

そこだ。

そこの一歩を、まだ俺は踏み出せないでいた。


「で、どうなんだ?いつもと同じように投票するんだろ?」

「うん、まあ…………そうなるかな」


だから、だからだ。



俺はモヤモヤした気持ちを抱えながらも、押しメンを変えることなく、選挙当日を迎えることになった。