まずはクローゼット。
「ないなぁ」
次に本棚。
かがんだ。
今がチャンスだ。
またさっきの矢田月音に戻ってしまったら…。
チャンスはなくなる。
私はポケットの中の折りたたみ式ナイフを握りしめ、首元目掛けてナイフを下ろした…。
「死ねええぇぇぇぇぇえええええ!!!!」
思い切りおろしたナイフはアルバムに刺さった。
よ、避けた…?
怯んでいる隙はない。
すぐにナイフを抜いて矢田月音めがけて刺した。
すると生暖かい、赤いものが私の胸から落ちていくのが感じられた…。
最後に見た矢田月音の顔は…。
笑っているような気がした。――――――