七月十六日、日曜日。

晴れ、最高気温二十五度。

病室の窓から太陽の光が差し込む。

こんなに明るいのは嫌いなのだが…。

窓の外を見ると視界に入るのは二棟の屋上。

私と矢田月音、矢田亜美咲が入院しているのは一棟。

一棟の屋上は二棟の屋上より高くて、大抵は封鎖されている。

二棟は比較的低くて、七階の私の病室からもよく見える。

二棟の屋上は出入りが自由。

フェンスで囲まれていないなに今まで自殺者がいないのはかなり凄いだろう。

矢田亜美咲…。

そこから飛び降りて死んでくれないかな。

そう思っていると、屋上に人が入ってきた。

車椅子の…。

包帯が顔にグルグル巻き…!!

矢田亜美咲だ!

これはラッキー。

自殺しに来たのか?

なら本当にラッキーだ。

車椅子はどんどん端へと進んで行く。

だが、勿論段差があるから下へ落ちることはできない。

街の様子を見ているのか。

と思ったら車椅子をおりた。

うつ伏せになりながら段差をこえる。

何度も、何度もうめき声を上げながら端へ端へと向かっていく。

「死ね」

そして矢田亜美咲は息を吸って叫び、頭から落ちたのだ…。

「フフフフフフ…」

落ちる直前、こっちを見たような気がしたのは気のせいか…。