一時半になった。

遅いな、と思っていたら怜依がバタバタとこちらへ向かってきた。

「おい、どういうことだよ!?」

「は?何がよ?」

「あの三人、眠ったまま起きねぇぞ!?」

かなり酔っ払っているようで、死んでいることをわかっていない。

「あぁ、だってあれは…。毒だもん」

「は…な、何言ってんだよ…?
このままじゃ俺が捕まっちまうじゃねーかよ!」

「捕まりたくない…?」

私がそう尋ねると、「もちろん」と返してきた。

もちろん、怜依は警察には捕まらないよ。

これからも、ずっと。

「じゃあこっちきて?」

待っている間に探した細い道の奥へ入っていった。

ここなら行き止まりの場所だし、いざとなったら隠し道があるから逃げるのには最適だ。

「あのね、杏里って子エイズなんだよ?」

「は…?
お前、さっきからおかしいんじゃねぇの!?
杏里ちゃんがそんなわけないだろ!」

杏里に限ってって…。

お前は千歳杏里の何なんだ。

でも怜依は震え始めた。

それは私が病院の診察書を見せたから。

それももちろん、偽装したもの。

「じゃあ、これ飲んで?
これ飲んだら他人を装える。DNAが変わるクスリなの。
絶対に毒じゃないよ。ほら、私が飲んだから」

水と一緒にゴクリと飲んで見せた。

すると怜依は信じたらしく、食いついてきた。