「へ?」





「冗談だよ、期待した?」

「もーっ、」



ぶらぶらと歩いて色んな場所に行った、それも浅井君がエスコートしてくれて嬉しくて優しくて楽しかった、時間が経つのを忘れるくらい。
「俺ちょっと飲み物買って来るね。」

「うん、ありがとう。」

ベンチに座って待っていると、柄の悪そうな男の人たちが私を囲んだ
四方八方から伸びてくる手にスカートを摘ままれ、髪を触られている。
恐怖から体が動かない私は暇なのだと勘違いされたのか腕を引かれて連れて行かれそうになった。

「カエデ、お待たせ。行こっか」


柄の悪い男の人たちを割って入ってきた浅井君はそのまま私を連れて行こうと歩き出すとそれは勿論止められた
浅井君はその優しい笑顔のまま自分の方に乗った男の手首を掴みいとも簡単に男を投げた。

「行こうか。」

その優しい笑顔のまま男たちの間を通った浅井君は凄く格好良かった。


「ごめんね、」
「本当にね、可愛いんだからもうちょっと注意しなよ。あと俺もごめん、名前で呼んで」

控えめに伏せられたその長いまつ毛が上下合わせると申し訳なさそうに笑った、振り向いたその背中が少し寂しそうでコツンと頭を浅井君の背中にぶつけた

「ごめんね、私メール寝てて返信してなかったの。私のこと名前で呼んでくれると嬉しいです、」
「じゃあ、俺も名前で呼んで?浅井君ってよそよそしいから」
「うん、」


浅井君と一緒にいると凄くドキドキしてふわふわする
あっという間に終わった一日は嵐の前の静けさだったということに私はまだ気付いていなかった。