「行こうっ」
広斗先輩は強引にわたしの手首を掴んで、その場を離れようと足を急がせた。
「先輩⁉︎ちょっと待ってくださいッ」
あまりにも早く歩くものだから、
ついていくのにも必死で…
「先輩!!ちょっと待って!
…手首、痛い。」
「あっゴメン!大丈夫?」
パッと手を離すと、
ほんのりと先輩の手形が手首に赤く残っていた。
「ごめんっ本当にごめんっ…
俺、夏澄にみっともない姿見せてばっかだな。友香とは明日ちゃんと話すから、心配かけてごめんな?」
先輩は ぽん、と、頭に手を乗せて
覗き込むようにわたしの目を見て言った。
「…わたし、先輩のその顔嫌いです」
「えっ?それは、タイプじゃないってこと?ん?えーっと、、顔が嫌いって初めて言われたな…ブツブツ」
先輩は困惑しているようだった。
「違う。そうじゃなくて、
先輩のそういう、哀しそうな顔。」

