先輩、わたしじゃダメですか?





それから、広斗先輩は絶好調だった。

試合では人一倍動いて
誰よりもゴールを決めていた。




「広斗っ!お疲れ様!」


友香ちゃんが声をかけてタオルを渡すと、
嬉しそうに受け取った。




わたしは友香ちゃんの隣に立っているけど、広斗先輩からしたら居ないも同然。

だって、友香ちゃんのことしか見てないんだから。




「夏澄…お前、大丈夫か?」


「コウくん…」


今にも泣きそうになる。

だけど涙を必死にこらえた。




「今日これから恵ちゃんも誘って思いっきり遊ばね?俺奢っちゃうよ!」


「ありがとう…」



あ、やっぱりダメだ。
涙は止まってくれない。



パサッ


ん…?タオル?



「これで拭いとけ!」


「ちょっ、コウくんこれ…
コウくんがさっき使ってたやつじゃん!」


「ワリ。でも無いよりマシだろ。
これで隠しとけよ。お前のその…汗。」



あ、
あえて涙じゃなくて、汗って言ってくれたのかな。

友香ちゃんや、広斗先輩に聞こえないように。


…ばれないように。