「あの…すいません」
「あ、いらっしゃま…」
嘘、なんで?
「夏澄ちゃん、ですよね。」
「はい」
「ごめんね、ちょっと時間いいかな?」
なんで咲良さんがここにいるの?
「でも、わたし店番が…」
「あ、そうだよねっ…えっと…」
「あ、大丈夫っすよ。オレ変わるんで」
「コウくん!」
「いいから行ってこいよ」
耳元でコウくんにそう言われ、渋々行くことにした。
「ごめんなさい。急に。」
「いえ、でも咲良さんは、広斗先輩と話があったんじゃ…?」
「そのつもりだったんだけど、断られちゃって。帰ってくれって言われちゃったの。」
ん?じゃあなんでわたしと一緒に回れないって言ったんだろ。
「夏澄ちゃんって広斗の今の彼女さんなんでしょ?わたし知らなくて、すごく失礼なことしちゃったよね。ごめんなさい。」
「いえ…」
丁寧な口調。
透き通るような声。
整った顔に、花のような笑顔。
こんなにも綺麗な人が目の前にいるなんて、もう、ほんとに嫌になる。

