「鳴瀬陽葵さんっていう方の写真集なんです。ご存知ですか?鳴瀬さん。」
嬉しそうに表紙を私に見せつけるように両腕を前に突き出して私の元に歩み寄る。
「はい。その写真…撮ったの私なので。」
自分の写真集を嬉しそうに抱えている少女に私は嬉しくなって少し顔が熱くなるのを感じた。
「えっ…?あなたが鳴瀬さんなんですか?まさか本当に博雄さんに会いに来てくれたんですか?凄いっ!ぜひ上がっていってください!博雄さんもすごく喜びます!」
音がしそうなくらいキラキラと輝いた瞳で私の顔をのぞき込むと戸惑う私の手を引いて少女がインターホンを鳴らした
-はい。ひとみちゃんかな?
心地のいい低音が私の頭の中にまで響いた。
色でいうとオレンジ。温かくて優しい響きの声に黄色い眩しい声がかぶさる。
「今日は博雄さんに凄いお土産を持ってきたの!」
いたずらをしようとする幼い子のような表情で人差し指を唇に当てる仕草で私に「シーっ」と声を出さないよう促す。
-楽しみだね。上がっておいで。
ガチャンと音がすると大きな門のストッパーが自動で上がり少女が私を手招きする。
「こっち!」
門をくぐると目の前のドアではなく少し裏にある勝手口のようなところへ案内された。
「私が鍵を持ってるのはこっちだけなの。ホントはお客様は正面からご案内するんだけど中からじゃないと開けられないから。」
お金持ちの家って複雑に出来てるんだな。と感心してあたりを見回していると少女がクスッと笑った。
「この家、凄いですよね。私も博雄さんのおうちに住みたいって何度も思ったの。」


