近づいてくる凛叶の足音。

凛叶を呼ぶ女子たちの声。

「・・・曖來。」

「凛叶。

私呼んでたの忘れたの?」

「・・・ごめん。

これには理由があって・・・」

「もういい。私今日は、帰る。」

「・・・曖來。

聞けって・・・」

凛叶は私の手を引っ張って止めた。

「離して・・・。」

「まって・・・。」

凛叶は強く腕を握った。

「・・・痛いよ。

離して!!」

私は思いっきり凛叶の手をはねのけた。

「・・・っ、おい。」

「・・・あの子達のとこ行かなくていいの?」

「あとでなんとかするから。曖來・・・」

「私との待ち合わせより、

あの子達を選んだんでしょ。」

「・・・だから違うってば!!」

凛叶が初めて私に怒鳴って言った。

「・・・っ。ご、ごめん。

きつく言い過ぎた。」

「・・・もういい!!」

「・・・曖來。」

私はその場から走って逃げた。

「凛叶~。遊ぼ~。

あんな子ほっときなって。

私たちの方がいいでしょ?」

「・・・ざけんなよ!」

「え」

「ふざけんなよ!・・・くそ。」

「凜叶・・・?」

「・・・俺も帰る。」

凜叶は追いかけてくることもなく

曖來は家へと向けて早足で帰る。