それにそんな曖昧な気持ちで相手の人に会ったところで失礼だ。失礼すぎるじゃない。
「とにかくよ、せっかく此所まで来たんだから一度先生の息子さんに一目会ってから帰りなさいよ。
決めるのはそれからでもいいでしょ?
本当にすごく素敵な人なのよ〜。容姿も芸能人並みにかっこいいし、ぜーったい会って損はないから、璃子も気に入ってくれると思うわよ」
「絶対に嫌!」
思わず声を張り上げた。
母の訳の分からない意見に振り回されるのなんてまっぴら御免!
だけど、母も負けじと迫力のある目力を効かせてくる。
そうなると、この勢いじゃそう簡単には帰してもらえなさそうだ。
母は一度言い出したら何がなんでもそうしなきゃ気が済まない性格。
しかも母ときたら、今回やたら前向きで、楽しそうに生き生きしちゃってる。
「あ、ほら料理教室の先生もお見えになったわよ」
げっ、嘘でしょ。万事休す…
今ならまだトイレに行くと嘘をついて逃げることも可能だったのに、タイミング遅くそれも駄目になってしまった。
そうなるとこれは…



