「ふふ、そりゃあだってあなた、今日は特別な日なんだもの」
「特別な日?」
「だってあなたの人生がかかってるんだから」
「は?」
こんな場所で人生?
何を言ってるんだろう。
璃子は母の言葉に首を傾けた。
こんな場所で人生が変わるわけないじゃない。それとも人生を変えるほど絶品な料理でも待ってるのだろうか?
「さぁ、そろそろ行きましょうか。お相手の方がお待ちよ。あなたにとって今日という日が素敵な日になってくれればいいんだけど」
聞き捨てならない言葉に璃子はハッとして、進めた足をピタリと止めた。
母の意味深な言葉を聞いた瞬間とてつもない嫌悪感。嫌な予感が過ったから。
「……ねぇ、相手の方って何?今日は私とお母さんの二人で食事をするんだよね?」
「あら、そんなこと言ったかしら?ほら、前にも言ったでしょ?今日はね、お母さんの友達も一緒なのよ」
「は?待ってっ、そんなこと一言も聞いてないんだけど!て言うか友達って誰よ!」
「ふふ、だから前にも言ったでしょ?料理教室の先生よ。今日は忙しい中わざわざ時間を作ってくれたんだから、あなたも粗相のないように気を付けてね」



