その言葉を聞いて母の意外な思いを知り、璃子は少しばかり肩の力が抜けた。
もしかしたら、もっと頑なにダメだと否定されると思っていた。だから思いの外、今の母の言葉は璃子にとっては嬉しかった。
「とりあえず、その人にちゃんと会ってみないと安心はでなきないけど。……ねぇ璃子、そのかわりと言ってはあれなんだけど、今度の日曜日って何か予定ある?」
「何かあるの?」
「この前友達から最近できたホテルのお食事券を頂いたんだけどね、璃子良かったら付き合ったくれない?他に誘う人がいなくて正直困ってたところなのよ」
「それでお母さんの気がすむの?」
「そうね、正直今回のことはビックリしたけど、あなたの気持ちもちゃんと考えつつ、なるべく前向きに検討するつもりでお母さんも頑張るわ」
やっと母がにこりと微笑んでくれた。
その笑顔はいつもの優しい笑みで、璃子はそれを見た瞬間ようやくモヤモヤとした霧が晴れていく気がした。
「あ、ありがとう!」
素直に嬉しかった。
正直に話して良かった。璃子はこの時始めて心からそう思えた。
母だってそんなに鬼じゃない。
ちゃんと話せば分かってくれる。
私のことも考えていてくれるんだと知り、璃子は帰る間際、今日初めての満面の笑みを母に向けることができた。



