その言葉を向けられて、さすがに驚いたのは璃子の方だった。
「で、でも水嶋さんは……」
そんな事しないでしょ?と言いかけそうになったところで、畳み掛けるように水嶋が言った。
「僕はあなたが思ってるほど紳士的な男じゃないですよ。ましてや好きな女性を目の前にして何もしない自信なんてないですから。
仁科さん、あなたはもっと警戒心をもったほうがいいです。僕が食べたいのはバームクーヘンではなく、どちらかと言えば仁科さんなので」
「…っ……」
水嶋が思いのほか真剣な口調で璃子を見つめた。
それは水嶋なりの忠告なのか、自分なりのケジメなのか。
水嶋の葛藤する思いを知ってか知らずか、璃子はというと当然ながらズキュンと胸を撃たれ、顔を真っ赤にさせてしまう。
「仁科さん、部屋に男性を入れる時はちゃんと本当に好きになった人だけにしてください」
「………は、い」
コクリ頷くと、水嶋がふっと口を緩めるのが分かった。
そのまましおらしく上目遣いで顔を上げると、水嶋の優しい眼差しが突き刺さる。



