「とりあえず副社長はやめませんか?」
「えっ?」
「さっきから気になってたんです。僕は今上司としてあなと一緒に居るわけではないですし、むしろプライベートでここに居ますので。
副社長と呼ばれると何だか一線引かれてるような気分になるので、できれば前みたいに名前で呼んでもらえたら嬉しいんですが」
「………」
副社長……
璃子はその言葉にハッとして、水嶋を見つめる。
水嶋が本当にそうしてほしいというように璃子を諭すから、本当にいいのかな?と思いながらもコクリと顔を縦に振った。
「それでいいです。それでは今まで通り名前で、親しみを込めて呼んでください」
「…あ、でも!さすがに仕事の時はちゃんと副社長って呼びますよ?」
「ハハ、それは臨機応変ってことで」
璃子はまたしても顔を赤らめた。柔らかい瞳で笑う水嶋がすごく眩しい。
こんなに爽やかな人今まで見たことがないほどに、璃子はくぎ付けになってしまう。
そして水嶋もまた、そんな璃子の思いを受け止めるよう、真っ直ぐ璃子の目を見て問いかける。
「でも、僕もまだまだですね」
「えっ?」
「仁科さんの気持ちを僕に夢中にできなかった。あなたが今抱えてるその大きな問題以上に僕の存在はまだ仁科さんの中では大きくなれなかったってことでしょう?」



