璃子はもう一度深々と頭を下げた。
こんな自分が情けない。
情けなくて思いっきりビンタでもしたい気分だった。
もっと強気な私でいれたら楽なのに。
何も考えずに水嶋の胸に飛び込めたら、どんなに幸せなのかと思うばかりでなかなか顔が上げられない。
「分かりました。分かりましたよ。仁科さんの気持ちはちゃんと伝わりましたから、だから一度顔を上げてください。ほら、仁科さん」
「……」
……だけど、それを救ったのはやっぱり水嶋の言葉で、少しの沈黙の後、彼から発せられた言葉に璃子はゆっくりと顔を上げる。
「ちゃんと自分の気持ちを話してくれてありがとうございます。やっとあなたの本音が聞けて少し安堵しました。
だから仁科さんももう謝らないでください」
その言葉と供に水嶋が近付いてくる。
そして戸惑う璃子の右肩にそっと手を触れると、優しく口元を上げる。
「とりあえず僕が嫌われてなくてよかった。安心しましたよ」
「…副社長……」
そう言われ見つめ返すと、にこやかな表情の水嶋が見下ろしてくる。
その顔は本当に優しさに満ちていて、思わず魅了されてしまうほど。



