「わたし……」
「すみません、携帯が……」
だけどその時、無情にも水嶋の携帯が鳴った。
この張り詰めた空気を撃ち破るように、水嶋の携帯が鳴り、二人は顔を見合わせた。
「こんな時にすみません、秘書の橘からです」
「…あ、どうぞ、出て、くださいっ」
そして緊張の糸が少しだけ緩む。
水嶋が申し訳なさそうに立ち上がり、「はい」と携帯を耳にあて、距離をおく。
そんな姿を見つめながら、璃子はふぅ、と肩の力が抜けた。
そう言えば私、この前秘書さんに今後も友達として親しくすると宣言しちゃったんだ。
彼の邪魔にならないように、よき友人として…
それなのに今私は何を言おうとした?
彼の言葉があまりにも嬉しすぎて、一人舞い上がり、彼の思いを受け入れようと考えた。
受け入れたいと思ってしまった。
そう落胆した時、璃子の携帯もまたメールの着信の知らせが鳴った。
さっそくそれを見れば母からで、「今度の日曜日に大事な話があるから家に来てほしい」
そんな内容だった。



