「副社長……」
真っ直ぐに見つめられて、璃子は顔を赤らめた。
真剣な水嶋の瞳、そして表情。その全てに魅了されて、何も言えなくなってしまう。
かつてこんな風に誰かに思いを伝えられたことがあっただろうか。
こんな風に真っ直ぐな強い眼差しで見つめられたことなんて、記憶の中で一度だって存在なんてしない。
「………」
わたし…
どうしよう。
それなのに璃子は何も言えなかった。
思わずうつむき、矛盾する自分の気持ちとの葛藤を繰り返す。
こんないい人にはもう巡り会えないかもしれない。
こんなチャンスはきっともう訪れないと思う。
なのに、母や姉の顔を思い出すとやっぱり躊躇してしまう自分が情けない。
『そんなに重く考えずに試しに付き合っちゃえばいいじゃない』
マユの言葉が脳裏をよぎる。
まるで後押しするかのように、そのセリフが璃子の背中を押してくれるようで、ぎゅと膝の上で握り拳を作る。



