「あの香水は仁科さんが好きで集められてるんですか?」
「い、いえっ、あれは姉からのお土産で、ほとんど使わずにあそこにオブジェ化になってるというか」
「そうですか」
「そんなオシャレな部屋ではないのでお恥ずかしいですが…」
「いえ、仁科さんらしくていいと思います。僕は好きですけどね」
「えっ……」
その言葉に璃子は持っていたお茶をこぼしそうになった。
最近「好き」という言葉に過剰反応してしまう自分が情けない。
とくに水嶋からの言葉なら尚更だ。
「仁科さん」
「はい!」
「時間もあまりないので今から単刀直入に伺っても宜しいですか?」
「えっ、はい」
水嶋がコップを静かに置き、ゆっくり璃子を見つめる。
璃子はいよいよだ、と緊張を高め何を言われるのかと膝の上でぎゅっと握り拳をつくる。
「正直僕のことを怒ってますか?」
「えっ」
「僕が本当の素性を隠していたこと、そのことについて本当はまだ怒ってるんじゃないかってずっと心配になっていて」



