「た、立場って…」
「申し訳ないとは思いましたが、あなたの社員名簿を見させていただというか…」
「あー…」
なるほど、それぐらいのことなら副社長というポジションならきっと簡単にできるだろう。
「だけど、どうし…」
「あなたに会いたかったから」
「えっ」
「まだあの時の返事ももらえてないですし、さっきも言いましたが、最近仁科さんが僕に対して何だか素っ気ない気がして、…いや、間違ってたらすみません」
ドキリ、水嶋の瞳が璃子の心臓を大きく突き動かす。
そんな真剣な瞳で見つめられたら、璃子なんて簡単に骨抜き状態。思考を破壊されてしまいそうだ。
「えっと…」
「すみませんが今お話しさせてもらっても大丈夫でしょうか?」
「あ、えっと、はい。じゃあ良かったら部屋に上がります?こんな所で立ち話もあれですし」
「いいんですか?仁科さんが差し支えなければぜひ。このままお言葉に甘えてそうさせてもらっても」
「ど、どうぞっ!あまり掃除してないので汚いですけど、い、今鍵開けますので少々お待ち下さい!」
そう言って璃子は急いで2階へと階段を駆け上がっていく。
自分でも内心ほっとした。
最近は家に寝に帰る日々だった為、部屋が汚いと言ってもそこまでじゃない。
2日前ちゃんと掃除しておいてよかったと、璃子は改めて自分の行動に安堵した。



